(〜)は私の心を文章化しています。
状況を説明することもあります。
世「こんにちは、行代ちゃん。」
行「こんにちは。」
世「今日は目が疲れ気味なので、目をつぶらせてくださいな。」
(目を閉じる世代)
行「それって、また何かたくらんでない?」
世「また、とは酷いな。この間は何も考えていなかっただけです。」
行「声がうわずってるわよ。」
世「声がおかしいのは、風邪のせいでしょう。」
行「元気そうじゃないの。観念しなさい。」
世「ふうむ。」
行「まだ、時間はたっぷりあるから粘っても無駄よ。」
(目を開ける世代)
世「そのようですな。目をつぶれば、考えを読まれないかなと思ってこうしました。」
行「単純よね。」
世「確かに、安直な考えです。」
行「そもそも、目を閉じたら私を見れないじゃない。その時点で負けよ。」
世「そうか。なるほど。」
行「商談中は相手を見る。」
世「勝手に商談にされてしまった・・・って限定ネタは禁止です。」
行「しっかり、のってきてるじゃない。」
世「勢いのあまりです。話を元に戻しましょう。」
行「世代さんは、基本的に顔に出るって前に言ったじゃない。」
世「それは、知っています。だから、語っているのは目が多いのではないかと思ったのです。」
行「そうかしら。それもあるかもしれないけれど、仕草ってのも結構あるわね。」
世「仕草? 何もしていないはずですが。」
行「自分では気付かないものよ。髪に手を当てたり、腕を組んだり、いろいろとね。」
世「ううむ。無意識か。どうにもなりませんな。」
行「ここで、よく考えるのよ。逆に。」
世「逆ですか? むむう。」
行「世代さんは、気付かないかもね。」
世「ああ。行代ちゃんもそういう癖があるのか。」
行「そういうことよ。今日は大サービス。」
世「全然、そんなことを考えたことはなかったです。」
行「いつも、人のことを観察していないでしょう。」
世「一応見ているつもりなのですが、隅々までは見ていないのだろうな。」
行「今からでも、気をつけてみれば何か見えるんじゃない?」
(じっくり眺める世代)
世「分かりません。」
行「諦めが早いわね。」
世「行代ちゃんに彼氏ができたって本当ですかな。」
行「・・・」
世「やはり、反応がないなあ。」
行「これぐらいのことには、動揺しないわよ。」
世「うまく、不意をついたつもりだったのだが。」
(ここで、何か言ってくるに違いない。気をつけよう。)
行「癖に気付いていれば、ある程度はカバーできるものよ。」
(おかしいな。言ってこないぞ。)
世「鏡を見て話すわけではないので、簡単には気付きません。」
行「たしかに、時間はかかるかもしれないわ。」
世「そうだろうなあ。」
行「構えてるでしょ?」
世「いきなり、言われても分かりません。構えるって何が?」
行「私が何を言っても動揺しないように構える、ってこと。」
世「ああ、そういうことでしたか。はい、構えていました。」
行「やっぱりね。」
世「私が不意をつこうとしたので、お返しにつかれると思ったのです。」
行「待ち構えているのが見え見えだったから、あえて言わなかったのよ。」
世「そうか。全部読まれているんだなあ。どうにもなりませんな。」
行「全部分かる人なんていないに決まってるじゃない。私だって何となく分かるだけよ。」
世「一筋の光明は、あるようですな。」
行「それを増やすも減らすも、世代さん次第ということね。」
世「小手先のものに頼るようではいけないようだな。今日は、
サングラスを使うべきかどうか、かなり迷ったのです。」
行「似合わないでしょうね。」
世「ははは。この顔に黒いメガネは異様ですからな。やめてよかったです。」
行「きっと、変質者にしか見えないわよ。」
世「ぐはあ。酷いなあ。」
行「痴漢のほうがよかった?」
世「大差ないではないですか。これからも、素のままでいきます。」
行「安心したわ。痴漢とはしゃべりたくないのものよ。」
世「それは、当然です。分かりました。」
行「ありがと。」
世「どういたしまして。それでは、今回はここまでにしましょう。」
行「じゃあ、またね。」
世「では、また今度。」
次の対話は5月中旬です。
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