カルドセプトのブックの組合せ数

計算には正規分布を用いているので、正規分布って何?という人は 高校の教科書か、確率・統計の本を読むことから始めてください。

  1. はじめに
  2. なにせあまりに莫大な数なので、正確に求めるのは無理です。 なんらかの積の形にして対数をとるというのがもっとも順当な アプローチでしょう。

    まず、ブックの枚数制限(50枚)がない場合を考えます。それぞれの カードは0〜4枚という5通りの選び方があるので全部で5360通りです。

    このうちカードの合計が50枚になる割合を求めればいいわけです。 ここまでは簡単ですね。

  3. 正規分布による近似
  4. ここで近似を用います。

    すべてのカードを0〜4枚の間でランダムに取ったとき、カードの合計が n枚になる確率を考えます。横軸にカードの合計、縦軸にその枚数に なる確率をとると、中心が膨らんだ山のような形になります。

    これは正規分布関数で近似できます(いわゆる大数の法則)。

    正規分布は 正規分布 という式で表され、 例えばある試行の結果がa〜bの間に現れる確率はこれをa〜bの範囲で 積分した値になります。μは期待値(平均)、σは標準偏差 (分散σ2の平方根)で、分散は(期待値からのずれの二乗平均)です。

    正規分布 正規分布

    まずはμとσを計算しましょう。

    カードが1種類だけの時を考えます。 適当に枚数を選ぶと全体の枚数は0,1,2,3,4のどれかになるわけです。

    これの期待値μ1は、 μ1=(0+1+2+3+4)/5 = 2
    分散σ12は、 σ12= {(0-2)2+(1-2)2+(2-2)2 +(3-2)2+(4-2)2}/5 = 2
    となります。カードが360種類の場合、期待値μと分散σ2は単純に 1種類の時の360倍になるので、それぞれ
    μ=2×360=720,σ2=2×360=720、∴σ=√720 となります。

  5. 積分近似
  6. 拡大図 さて、最終的には合計枚数が50枚になる確率を求めなければ いけないのですが、ここでもう一つ近似を行ないます。

    本来なら49.5〜50.5の範囲で積分するべきなのですが、 x=50近傍では2次微分が十分小さいとしてこれを中心の値で 近似することにします。

    つまり斜線の面積をの面積で代用するわけです。(右図)

    これが全体に占めるx=50となる割合なので、求める組合せの数Mは
    組合わせ数
    となります。もちろんこんな莫大な数の計算を直接行うことは 無理なので、対数をとって計算することにします。

  7. 結論
  8. 結果として、

    log 10 M = 360 log 10 5 - 0.5×log 10 (2π・720) - {(50-720)2/(2・720)} log 10 e = 114.4…

    つまり M≒2.6×10114 となります。 はっきり言って無量大数なんてレベルじゃないです。10114をべきを 使わずに書いてみると、

    1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000通り

    う〜ん、インパクト!! 近似をしているとはいえ、オーダーは間違っていないでしょう。 でもこの 10114のうちほとんどは全く使えないクズブック でしょうけどね(笑)。

    セプターがいればその数だけ、いやそれ以上の数のブックが存在することが 分かっていただけたでしょうか。